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2024-06-02 05:54:00

鐘楼堂の龍

お寺の玄関の間で、お飾りしている龍の屏風。板に直接描かれ、荒々しさを感じるお姿をされています。平成19年のこと。鐘楼堂の建て替えに伴い、古い鐘楼の天井にあった龍の絵を外し、新しい鐘楼には合わせられないから、お焚き上げをしようかと話していました。日が暮れると、絵を置いてある場所からパシーン、パシーンと音がする。あまり毎晩続くので、龍神さんが、何か伝えようとして下さっているのだろうと、板のまま屏風に仕立てお守りして行くことになりました。作者は、和歌山県の広川村尋常小学校で、第2次世界大戦の最中に校長を務められていた、一ノ瀬貫一さん。昭和47年に描かれています。同じく本坊の襖絵も一ノ瀬さんの作ですが、よく見ると、皇紀2629年、こちらには剣士一貫とあります。天井画より3年ほど前に描かれたことや、一ノ瀬さんが、日本画だけでなく、武道家で剣道をよくされたこと、画号は一貫であったことが分かります。母いわく、祖父清教和尚と同郷の縁で描いていただいた、また、とても背の高い方だった、とのことです。龍は水を司ります。きれいな水は、私たちの命そのもの。画家と祖父の祈りのこもった龍神は、今も私たちを守ってくださっています。